これまでに、交際へ至るまでの戦略や実際の行動を述べてきた。本記事では「性格」とは異なる、交際後に長期間一緒に過ごすことで見えてくる「価値観のすり合わせ」、そして長期的な関係維持を見据えたコミュニケーション戦略について紹介する。
対象読者

前回の記事では似た者同士のカップルであるかのような印象を与えたかもしれないが 、実際には私たちは対極の性格をしている。
私
- 合理的:こんな記事を書くレベル
- 1人好き:1人で海外各地や山奥に行く
- 組織嫌い:キャリアのレールから早々に外れるフリーランス
彼女
- 感情的:星空を見て感動の涙を流すレベル
- 社交的:友人が大量におり、わいわいするのが好き
- 組織人:組織に属することを楽しんでいる
ちょうどこのような「正反対のペア」であれば、本記事の内容が参考になるかもしれない。
本題に入る前に:ロジハラに対する自戒

私は自身のことを「中立で他者の自由意志を尊重する性格」だと思っていたが、相手によってはそれが「ロジハラ(ロジカルハラスメント)」になっていた可能性を現在は自認している。
私は食洗機を期間按分し、家計簿で1000円/月として償却するような性格だ。
そんな私が相手の判断について「それは何故か?」を問うことは、私自身にその意図がなくとも、相手に強烈な圧迫感や「反論できない苦しさ」を与えうる。

一方で彼女は、嫌なことは嫌とはっきり言える性格だ。「論理的にどれだけ正しくても、何となく嫌だ」と主張できるため、私も「そう思うなら仕方ないか」と納得し、バランスの取れる関係となっている。
文章が淡々としているため彼女の精神状態が心配になる読者もいるかもしれないが、彼女は基本的に毎日ニコニコと過ごしているので安心してほしい。
価値観のすり合わせ:問題にならなかったことと、なったこと

網羅的に話すと煩雑になるため、一般的なリストについては上記書籍などを参考にしてほしい。本記事では、私たちにおいて「特に問題にならなかったこと」と「問題になったこと」、そして「コミュニケーションのルール」の順で紹介する。
特に問題にならなかったこと
家計

方針
固定費は彼女が負担し、それ以外はほぼ私が負担する。仮に転居して2人の家となれば、固定費も私負担となる可能性がある。
詳細
- 私は無駄と感じる節約をするのが嫌いなため、自由に支出したい。
- 可処分所得的にも私の負担が大きい方が公正だと考えている。
注意点
- 私は中学生以降、半ば趣味として家計簿をつけ続けており、支出の緻密な管理に慣れている。そのため、好きに使っても収支が破綻するリスクは低い。
- 月末に報告用データをまとめ、彼女と振り返りを行っている。
- 彼女には自身の収入があり、私はそれに関与していない(資産形成については一部約束あり。後述)。彼女も経済的自由を保てている。
家事育児

方針
私が家にいる時はほぼ全て私が負担。子どもができたら私の勤務を週1回程度まで減らすことが可能で、主体的に育児もカバーする。
詳細
- 働きアリの法則をご存じだろうか。より閾値が低い個体から働き出すというアレだ。家事においては私の方が「汚れに対する閾値」が低いため私が動いており、それに対する不満はほぼない。
- 子育ての経験自体が、そもそも私が結婚したいと思った理由の1つであるため、むしろ主体的に参加したいと考えている。
注意点
- 私は「家事をしたいと思っているからやる」のであり、気が向かない日は全くやる気がない。
- 幸いなことに私の閾値がそこそこ低いため、結果的に問題なく環境は維持されている。
- 働きアリの法則は自分が負担する理由づけであり、相手に負担させることの正当化に使うものではない。それは価値観の押し付けとなる。
日常の細かな違い

方針
互いに相手に自分のやり方を押し付けない。
詳細
- 私は海外のボロドミトリーなどでの宿泊にも慣れており、そもそも環境への不満を感じづらい。
- 家事と同じく、気になれば自分で何とかする。
- 彼女もあまり気にならない性格のようで、特に不満はないらしい。
親族・友人付き合い

方針
互いの性格を理解し、配慮し合う。
詳細
- 彼女は、親族や友人と私が遭遇する機会を減らそうと努めてくれている。
- 私は、彼女が休日に遊びに行ったり、友人を家に呼んだりすることを理解し許容している(現在は私が彼女の家に住んでいるため当然だが、今後2人で家を契約したとしても同様)。
- どうしてもこの人に会ってほしい、あるいはこの日は自分のために予定を空けてほしいとお願いすることは互いにある。ただ、どちらも相手の心理的苦痛を理解しているため、大きな問題には発展していない。
問題になったこと
ここからは、明確に争点となり、話し合いが必要だった項目を挙げる。
話し合いの仕方(ペースの違い)

争点
- 私:婚活のために休業するような思考回路であり、実行が早い 。
- 彼女:保守的で慎重。
方針
彼女がキャパオーバーになれば、話し合いを打ち切り翌日に回す。
詳細
- 前述のロジハラにも通じるが、私は行動の初速が早い傾向がある。人生の残時間を常に意識しているためであり、その価値観の違いにより問題が発生した。
例)彼女がポロっと「スペインに行きたい」と言うと、翌日には詳細なプランと費用を試算してデータ化し、「いつ休暇を取れるか?どのプランが良いか?」と問い詰めてしまう。
- 当初はこのスピード感により彼女が複数回キャパオーバーに陥り、話し合いが機能しなかった。
- そのため、現在は彼女が「今日はここまで」と宣言した場合、直ちに話し合いを打ち切り、翌日まで時間を置くルールで合意している。
物の購入・処分

争点
- 私:数十万単位の物でも、必要性を判断して即座に購入、あるいは処分(廃棄・売却)する。現在の荷物は段ボール数箱に収まるレベル。
- 彼女:高価なものを購入するのを躊躇し、紙袋などでも溜め込む。現在の荷物は服だけで1部屋埋まるレベル。
方針
- 「1年以上使っていないか」などの基準を設け、一緒に少しずつ家の物を減らす。
- 靴を2足処分する代わりに新しいものを1足プレゼントするなど、バランスを取る。
- 仮に物が増えて必要部屋数が増加した場合、家賃の増分は彼女が負担する。
- 大型家具などの購入は必ず相談する。
詳細
- 物が増えるほど私の清掃負荷が増加する。彼女が「絶対に処分拒否」という価値観であれば破綻していた可能性が高い。
- 幸い、処分への心理的ハードルはそれほど高くないようで、少しずつ減らす方針で合意した。
- 購入は各々が自費で負担する限り自由だが、場所を占有する大型の物は要相談。
- 私が必要だと主張する物は「家事負担の軽減」など何かしらのストレスを低減するためのものだ。論理的に説得すれば、たいていは彼女側が折れてくれる。
資産形成

争点
- 私:必要以上の資産を溜め込む気はさらさらなく、今やりたいことを優先したい。
- 彼女:将来が不安なため、あればあるだけ貯蓄したい。
方針
- 婚姻前にあらゆるライフイベントで必要な費用を概算し、バッファを設けた計画を立てる。
- その計画に則り、合意した金額を互いに貯蓄する。
詳細
- 私の金銭観は過去記事で述べた通りだ。必要以上の貯蓄は時間の無駄だと考えている。
- しかし、彼女の不安を取り除く「保険」のような感覚で、私自身も一定額を貯蓄することで合意した。
- 彼女の希望であるため、私だけでなく彼女自身も一定額を貯蓄するルールとしている。
借金とリスク許容度

争点
- 私:自由に借金し、場合によっては破産する自由すら持ちたい。
- 彼女:極めて安定志向。クレジットカードの使用にすら忌避感がある。
方針
- 婚姻前に税理士や弁護士に相談し、法的にリスク分離が可能かを検討する。
- 不可能であれば、私の自由を制限する。
詳細
- 今のところその予定は全くないが、例えば「開業したい」など別のチャレンジをしたくなった際、私は躊躇なく実行する自由が欲しい。
- とはいえ、彼女を私のリスクに巻き込む気はない。リスク分離ができないのであれば、その自由が制限されるのは致し方ないと合意している。
注意点
- 私は医師としていつでも単発の仕事が可能であり、彼女も安定した職に就いているため、一般的な家庭より、そもそもの経済的リスクは低い。
- ベースのリスクが高い家庭の場合は、より慎重な話し合いが必要になるだろう。
居住地

争点
- 私:交通アクセスの良い拠点に住みたい。
- 彼女:できれば現在住んでいる都道府県に留まりたい。
方針
- 私はアクセスの良い場所に住む。
- 彼女が転居することになりそう(異動により転居可能な職種のため)。
詳細
- 話し合いの結果、これは私の「絶対に譲れない条件」の1つだと判明した。
- 私のキャリアは率直に言って医局から忌避されるものであり、何かのきっかけで逆鱗に触れる可能性がある。特定の医局に干されるリスクを考慮すると、北海道から沖縄まで全国どこでも日常的に仕事ができる拠点の確保が必須となる。
- そのため、私としては「もともと拠点としていた地域を彼女のいる地域に移す」ところまでが限界だ。それ以上は別居婚か彼女の転居かの2択になる。いずれも困難であれば、いくら好意があっても関係維持は不可能だと率直に伝えた。
- 現在、この件については話し合いがまとまりつつある。
教育方針

争点
- 私:無人島で野生生活をしようが学者を目指そうが、子どもの自由。
- 彼女:普通に進学し、普通に就職してほしい。
方針
- 基本的に彼女の意見を優先する。
- ただし、私の影響を子どもが自然と受けてしまうのは不可抗力とする。
詳細
- 私が自由であるように、子どもにも自由を与えたい。本人が「働きたくない」と言えば、一緒にサバイバル術を経験することを提案するだろう。
- とはいえ、私にとっては「子どもの自由」よりも「彼女の機嫌」の方が重要度が高い。そのため、彼女の意見を優先することで合意している。
- 実際に子どもができれば意見は変わる可能性もあるため、その時に再度話し合う予定だ。
コミュニケーション:長期的な関係維持のルール
先述の書籍にもあるように、無策のまま数十年の関係を維持できるとは考えていない。
特に今年は私の仕事の都合で、片道7時間の遠距離生活が確定している。来年以降も、前述の通り週の数日は家を空けることが多いだろう。
それを踏まえ、私たちが実践している「長期の関係維持を見据えたコミュニケーション」のルールをいくつか紹介する。
起床・就寝・外出・帰宅時は、喧嘩中でもハグをする

軽いスキンシップを義務化することで、争いの長期化を防ぐ。複数回ハグを交わしながら怒り続けるのは感情的に難しく、互いに謝りやすくなると考えている。
現在は義務化せずとも関係は良好だし自然にハグくらいするが、10年、20年後、互いの存在が当たり前の家族となった時に、有効に機能することを期待している。
一緒にいる日は毎日容姿を褒め、好意を伝える。LINEでは絵文字を使う

気恥ずかしい気もするが、彼女が重視している項目だ。幸い、私は思っていることを単に伝えるだけなので負荷は小さい。LINEの絵文字も、簡易外国語のようなものであり、比較的短期間で最適化された。
感謝を積極的に伝える

あらゆる場所で推奨されているもの。元は「他人」である以上、尊重が最も重要だ。自然と口から出るようになるまで、最初のうちは意識して習慣づけるのが良いだろう。
まとめ

彼女とは交際して半年が経つ。途中、話し合いが絶えず衝突する時期もあった。しかし、現在はある程度の落としどころが見つかっており、関係は良好に保たれている。
この記事の内容については、今後も生活の中で新たな知見やルールの追加があれば、随時更新していく予定だ。