医師が自分と家族にすすめる検診:受ける検査と、あえて受けない検査
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「定期的に受ける検査は、何をどこまで受ければいいんだろう?」
健診の案内や、人間ドックの申し込みを前に、迷う人は多いと思います。
前の記事では、タバコやワクチン、毎日の習慣など、自分でやることを書きました。
この記事では、その続きとして、定期的に受ける検査で何を受け、何をあえて受けないかを書きます。
あくまで私個人の考えです。健康な人向けの参考で、通院中の方は主治医の意見が優先です。
結論
定期の検査は、確実に受けたほうがいいものから始め、脳ドックや甲状腺は、見つかった後まで考えて決めてください。
まず、歯と目やカメラなど、受けておく検査を書きます。そのあと、受けるかどうかを自分で決める検査を書きます。
歯と目も定期的に

まず歯は、3〜4か月に1回の定期検診で、クリーニングしてもらっておくのがおすすめです。長生きのためというより、生活の満足度のためです。歯を保てば、年を取ってもずっとおいしく食事ができます。

そのためには、虫歯にしないことがいちばん大事です。
歯並びがでこぼこだと磨き残しが出やすいので、できれば一度、矯正で整えておくのも手です。見た目がよくなるのもおまけとしてあります。

眼科は、私は目にレンズを入れる手術をしたので、年に1回くらい定期的に検診を受けています。
緑内障などは気づかないうちに進んでいたりするので、ほかの人も定期的に受けておいて損はありません。
ただ、歯科のクリーニングのような検診だけの受診が、眼科でできるのかは正直よく分かりません。できるなら、受けておいてもいいと思います。
40歳からはカメラも

次に、40歳を過ぎたら受けたいのがカメラで、まずは大腸カメラです。
大腸にはポリープがときどきでき、その一部はがんになることがあります。ポリープは一度取って終わりではなく、また出てくることもあります。
なので、一度受けてみて、その後は担当の医師の指示に従って、定期的に受けるのがおすすめです。私も、40代になったら受けるつもりです。

胃カメラは、ピロリ菌がいないと分かれば、頻繁に受けなくてもいいかもしれません。ピロリ菌がいなければ、胃がんになる頻度は高くないからです。
ただ、胃カメラでは、食道やのどのがんが見つかることもあります。見つけるのは難しく運次第ですが、大腸カメラを受けるなら、ついでに受けてしまうのも手です。

胃の検査には、バリウムもあります。ただ正直、バリウムは過去の遺物で、バリウムしか受けないのなら、受けなくてもいいとすら思っています。
バリウムで分かる胃がんは、ある程度進んだものが中心です。胃カメラなら、内視鏡だけで治療できるような早いがんも見つけられますし、食道などほかの所も同時に見られます。
せっかく受けるなら、バリウムより胃カメラです。
お腹はエコー、胸はレントゲン

続いて、画像の検査です。個人的には、お腹はエコー、胸はレントゲンを撮るくらいでいいと考えています。
お腹にはいろいろな臓器がありますが、見たいものはだいたいエコーで見えます。
唯一、膵臓は見えづらいです。
ただ、膵臓は詳しく検査しても、悪いものがあるかどうか分かりにくいところです。なので今のところは、もし何かあっても、運が悪かったと思うしかないと考えています。

一方、胸の中の肺は、エコーでは見ることができません。なので、ほかの検査でカバーする必要があります。
個人的には、肺はレントゲンで十分だと思います。大きいがんなら、ちゃんと写ります。

ただ、胸のCTを撮っても悪くはありません。レントゲンでは小さなものは写りにくく、心臓や骨の影に重なって見逃すこともあります。CTなら、そうした見逃しがなく一目瞭然です。
一方で、全然悪くない小さなものまで一緒に見つかることもあります。ただ、それも、何か月後かにもう一度検査して変わりがなければ大丈夫、といった流れがだいたい決まっています。
なので、仮に何か見つかっても、心理的な負担はそれほど大きくないはずです。見つけるメリットのほうが勝る、という考え方もありだと思います。

胸のCTを撮るなら、そのまま下まで撮れば、お腹のCTも撮れます。それをやってもいいですが、お腹はエコーでだいたい見えているので、そこまでするかは好みです。
女性は乳房と子宮の検診も

女性なら、乳がんのマンモグラフィーに加えて、子宮の検診も大事です。子宮頸がんのワクチンを打っていても、原因になるウイルスを、すべて防げるわけではないからです。

子宮頸がん検診は、20歳を過ぎたら定期的に受けるのがおすすめです。早めに見つかれば、子宮の入り口の表面を切り取るだけで治ることも多く、受けるメリットはかなり大きいです。

子宮体がんの検診は、子宮頸がんほど効果がはっきりしていません。ただ、子宮頸がん検診のついでなら、受けてもいいと思っています。
婦人科の先生によると、内診(手で触って調べる診察)だけでは、ベテランの先生でも分かりにくいことがあるそうです。
内診で問題ないと言われたのに、エコーで大きな卵巣がんが見つかったこともあると聞きました。
子宮頸がん検診を受けるなら、手間は大して変わらないので、エコーも付けておくといいです。
脳ドックなどは自分で決める

最後に、脳ドックと甲状腺の検査は、受けるかどうかを自分で決めてください。どちらがいいとは、私からは言い切れないからです。

放射線科で研修していた頃、脳ドックを受けた人の画像を指導医と一緒に見て、診断のレポートの下書きも書いていました。
そこで思ったのは、頭の血管に小さな動脈瘤がある人は、意外と多いということです。
検診を受けに来ている以上、数ミリほどの本当に小さなものでも、あれば報告します。実際にそこにあるからです。
ただ、数ミリの動脈瘤は治療の対象になる大きさではないので、ほぼ経過観察になります。

もし自分が、念のため、安心のためにと脳ドックを受けて、数ミリの動脈瘤が見つかったとします。「まだ小さいので、治療の対象ではなく経過観察です」と言われるでしょう。
このサイズなら、おそらく何も悪さをせず、そのまま一生を終える可能性が高いでしょう。それでも、検査したばかりに「頭に爆弾を抱えている」と思いながら暮らす心理的な負担は、結構大きいはずです。

もちろん、大きな動脈瘤が見つかって、受けてよかったということもあります。ただ、リスクとベネフィットを比べると、正直微妙なラインです。
私自身も、受けるかどうかは悩んでいます。ここは、個人の価値観で決めるしかありません。

甲状腺は喉にある臓器で、ここも似たような話です。
甲状腺はがんができることが結構多いのですが、悪性度が低いことも多いです。検査しなければ、一生悪さをせず、ただそこにあるだけだったかもしれません。
何か見つかれば、針で細胞を取って、本当に悪いものかを調べることもあります。その結果、がんと分かっても、悪性度の低いがんなら、手術のメリットとデメリットを比べて、経過観察になることがあります。手術には副作用もあるからです。

ただ患者さんからすると、「がんがあるのに経過観察されている」と思いながら暮らすのは、たまったものではないと思います。
もちろん、悪いものなら切除しないと広がるので、検査していてよかったということもあります。
ただ、脳ドックと同じくメリットデメリットが拮抗していて、これも自分で判断するしかないと考えています。
腫瘍マーカーは他の検査をしてから

最後に腫瘍マーカーについて。採血でいろいろなものを調べられますが、個人的には受けなくてもいいと考えています。
本来は、画像の検査やカメラで何か見つかった後に、確認として使う検査です。最初から腫瘍マーカーで探す意味は、あまりありません。
偽陽性(何もないのに異常値が出ること)もあるので、心の平穏が乱れるくらいなら、受けなくて構いません。ここまでに書いた検査のほうが優先で、誰にでもすすめられます。
見つかった後で選ぶ

ここまでをまとめると、私が検査を選ぶ基準は、見つかった後にどうするかが決まっているかどうかです。
歯と目、カメラ、エコーやレントゲン、女性の検診は、見つかれば治すか、決まった流れで様子を見れば済みます。脳ドックや甲状腺は、見つかっても見守り続けることが多いので、受けるかは自分で決めます。
まずは、歯の定期検診と、40歳を過ぎたら大腸カメラから始めてみてください。
