【外国人旅行者向け】日本の地方で病気になったら? 医師が教える当番病院の探し方と診察で驚くこと

ヒヨコの医師が、夜の山あいの道でランタンを掲げ、旅行かばんを持った青い鳥を、一軒だけ窓の明るい小さな病院へ案内している

動画がありません

目次
  1. 結論
  2. 日本人の私でも焦った
  3. 夜間休日は当番病院へ
  4. 医師の英語は片言と思って
  5. CT は気軽に撮る
  6. 診断書が要るか先に考える
  7. 当番を探し紙を持っていく

「日本の地方を旅行中に具合が悪くなったら、どこへ行けばいいの?」日本を旅する外国の方の疑問です。

私は僻地で内科医として働いていて、外国人を診察したこともあります。去年は世界中を旅して、自分が外国人の側でした。

最近は、日本人でもなかなか来ないような場所にも、外国人がかなり増えました。病気になったらこの人たちはどうするんだろう、と感じています。

この記事は、日本を旅行する外国人向けです。日本人にも参考になる所はありますが、健康保険があるので費用の計算などが違います。日本人向けには、別の記事でまとめる予定です。

この記事では、日本の地方で病院にかかるときに知っておくと困らないことを、医師の側から書きます。

結論

夜間や休日は、その日の当番の病院を AI に探してもらい、症状を書いた紙を持っていってください。 地方には専門の科も、英語を話せる医師もほとんどいない、という前提で動くと慌てずに済みます。

まず、日本人の私でも地方で焦った話をします。そのうえで、病院の探し方、医師との話し方、日本の診察で驚きやすいこと、診断書とお金の順に書きます。

日本人の私でも焦った

ヒヨコの医師が、田んぼと山の見える部屋のベッドで片目を手で押さえて起き上がり、不安そうに眉を寄せている

まず、地方では、その場に専門の科がないことがあります。日本語ができて医学の知識もある私でも、それで焦ったことがあります。

数年前、学生時代に、目にレンズを入れる ICL という手術を受けました。その数か月後、僻地の病院で実習していたときのことです。

ある朝起きたら、片目の前が真っ白で見えなくなっていました。手術を受けたばかりで心当たりがあり、正直怖かったです。最初は、レンズの位置がずれたのかと思いました。

小さな診察室で、片目を押さえて座るヒヨコの医師の前で、色違いの二羽の鳥の先生が顔を見合わせて首をかしげている

実習先の病院に行くと、救急の当番は内科と外科の先生でした。眼科は特殊なので、先生たちも「どうしようか」という様子でした。

結局、手術を受けた病院まで、片道 2 時間ぐらいかけて戻りました。原因は目の中の出血で、手術との関係はよく分からないとのことでした。

片目に眼帯をしたヒヨコの医師が、山あいを走る一両だけの電車の窓辺に座り、遠くに見える街のビルを見つめている

後で調べると、目の中の出血は、手術で取り除かないといけないこともあるそうです。私は運良く自然に引いて、数年たった今もトラブルはありません。

慌てはしませんでしたが、「やばいな」とは思いました。日本人で医学の知識もある私でもそうなので、外国人ならもっと分からないはずです。

山の上の広い空き地で、ヒヨコの医師が飛んでくるヘリコプターを見上げながら、腕時計と遠くの大きな病院を見比べている

場合によっては、ドクターヘリもあります。それでも、ヘリの所まで動くのに 10〜20 分、飛んで 30 分ほどかかります。

これは外国人に限った話ではありません。僻地では、日本人も仕方ないと受け入れるしかないことです。

夜間休日は当番病院へ

夜の田舎町で、明かりの消えた建物が並ぶ中、一軒だけ窓が明るい病院を、ヒヨコの医師が旅行かばんを持った鳥に指さして教えている

次に、夜や休日にかかれるのは、その日の当番の病院だけと考えてください。当番でない病院では、医師が対応しないことが多いからです。

日本の救急は、一次・二次・三次と重さで分かれています。この分け方が世界共通かは分かりません。何でも検査できる大きい病院には、直接行けないことが多いです。

ヒヨコの医師が、小・中・大の三つの病院の模型を階段のように並べ、いちばん小さい病院の入口へ旅人の鳥を手で案内している

ふつうは、地元の診療所の医師や、中くらいの病院で診てもらうことになります。大きい病院に直接行ってもいいですが、待ち時間がかなり長くなります。選定療養費という追加のお金も取られることがあります。

当番の病院は、厚生労働省の検索サイトで調べても、大きい病院ばかり出てくる印象です。実際の情報は、地元の自治体の公式ホームページに「何日はここ」とまとまっていることが多いです。

ヒヨコの医師と旅行かばんを持った鳥が並んでスマートフォンをのぞき込み、画面の上に地図のピンの形がふわりと浮かんでいる

ただ、ほとんどは日本語だけです。愛媛県の 20 の市町で調べたときは、英語の救急のページは 1 つもありませんでした。

ホテルの人が調べてくれるかもしれませんが、あまり分かっていないことも多いです。日本人でも、よく分かっていない人が結構います。

そこで、AI に調べてもらうのがいいと思います。例えば、次のように聞けば、たぶん教えてくれます。

(ホテルの住所)で体調が悪くなりました。この地域の〇月〇日の救急当番病院を、自治体の公式ホームページで調べてください。

ホテルの受付で、受付係の鳥が受話器を耳に当て、隣でおなかを押さえた旅人の鳥をヒヨコの医師がそっと支えている

受診の前には、電話することが多いです。直接行っても診てくれることはありますが、電話した方が無難だと思います。

ただ、日本語で話すのは難しく、病院の人も英語では分からないことがあります。電話は、泊まっているホテルの人にお願いしてもいいと思います。

救急車は、必要なときに使うなら基本的に無料です。自分の国でも病院に行くような状態で、やばいなと思ったら呼んでもらってください。

医師の英語は片言と思って

ヒヨコの医師が汗をかきながら両手で身ぶり手ぶりをして、向かいに座る旅人の鳥が首をかしげ、二羽の間に絡まった毛糸玉が浮かんでいる

その病院で会う医師の英語は、片言だと思っておいてください。都会なら英語がペラペラの医師も多いかもしれませんが、少なくとも地方では違います。

片言の日常会話ならまだしも、医学の英語を話せる医師はほぼいません。英語を読む・書くはある程度慣れていますが、会話は難しいです。

旅人の鳥が、体の絵と丸い印が描かれた一枚の紙を差し出し、ヒヨコの医師がほっとした顔で両手で受け取っている

なので、症状を前もって紙にまとめ、印刷して持ってきてもらえると助かります。その場で翻訳アプリを使ってもかまいません。

紙を作るときは、下の文をそのまま自分の AI に貼ってください。AI の質問に答えて穴を埋めれば、病院に渡す紙になります。

日本の病院を受診します。下の項目を埋めるために、私に 1 つずつ質問してください。
全部そろったら、病院に渡す紙として、日本語と英語を並べて書いてください。
年齢・性別:
話せる言語:
いつから、どんな症状があるか:
持病:
飲んでいる薬:
アレルギー(薬・食べ物):
妊娠の可能性(女性の場合):
日本の健康保険:あり/なし
英語の診断書が要るか(要るなら書式と、メールで受け取れるか):
泊まっているホテルと電話番号:

その紙は、電話をお願いするホテルの人に見せるのにも使えます。妊娠の可能性や診断書の項目は、このあと説明します。

CT は気軽に撮る

ヒヨコの医師が、大きな輪の形をした CT の機械の横に立ち、軽やかに操作盤のボタンを押している

日本の診察で外国と違うのは、かなり気軽に CT を撮ることです。値段が安く、その日のうちにその場で撮れるからです。

CT は全額で 1 万 5000 円ぐらいです。日本人は健康保険で 3 割の負担なので、5000 円弱で受けられます。なので、結構気軽にパンパン撮ります。

日本の健康保険がない旅行者は、全額を自分で払います。保険の値段より高く決めている病院もあります。

ヒヨコの医師が、輪の形の機械の手前で立ち止まり、おなかに手を当てた若い鳥の患者へ、確かめるように優しく問いかけている

困るのが、若い女性の場合です。CT は放射線を使うので、もし妊娠していたら、おなかの赤ちゃんが被ばくするおそれがあります。後々トラブルになりうるので、医師の間では口を酸っぱくして言われています。

そのため、若い女性には必ず妊娠の可能性を聞きます。問診票に書いてもらうこともありますが、一度は医師が自分の口で聞きます。

「妊娠はない」「リスクは分かったうえで撮ってよい」という言葉を聞いてから、カルテに書かないといけない事情があるからです。

診察室で、ヒヨコの医師が若い鳥の患者に問いかけ、その後ろで腕を組んだ年配の鳥が顔を真っ赤にして怒っている

私自身、これでトラブルになったことがあります。20 代ぐらいの外国人の女性が、お父さんと一緒に来たときのことです。

お父さんの前では言いづらいので、一度出てもらって本人にだけ聞くこともあります。ただ、それはそれでセクハラっぽく見えるかと思い、お父さんのいる場で聞きました。すると、だいぶ激怒されました。

ヒヨコの医師が、看護師の帽子をかぶった桃色の鳥を探して、色違いの鳥たちが忙しく行き交う病院の廊下を見回している

私の英語がたどたどしくて、うまく伝わらなかったこともあると思います。女性の看護師さんがいれば同席してもらえますが、忙しくていないこともあります。

なので、こういう質問をされることは、前もって知っておいてもらえるとありがたいです。診察中にセクハラをするメリットは、ほとんどの医師にはありません。

診断書が要るか先に考える

ヒヨコの医師が、机の上の白紙の書類を前にペンを持って首をかしげ、横には旅行かばんと封筒が置いてある

最後に、英語の診断書は、本当に要るかを先に考えてください。手間のわりに、得にならないこともあるからです。

旅行者は、保険金をもらうのに英語の診断書が要ることがあります。私も旅行者だったので、それは知っています。ただ、慣れていない医師も多く、書式もよく分かりません。

欲しいなら、どんな書式の診断書が要るのかを伝えてください。その日のうちに出せないこともあるので、メールで送ってもいいかも教えてもらえると助かります。

会計の窓口で、ヒヨコの医師が窓口の鳥を手で示し、旅人の鳥が財布から金貨を数枚取り出している

診断書を出すこと自体にも、病院ごとに決まったお金がかかります。

正直、日本の医療費は、入院にならない限りそこまで高くありません。CT や MRI を撮っても、10 万円以下に収まることが多いです。それなら、診断書の手間をかけず、自分で払ってしまうのも手だと思います。

いくらかかったかは、医師に聞いても分からないことが多いです。医師は値段をあまり意識していないので、会計の事務の人に聞いてください。

当番を探し紙を持っていく

夕暮れの山を背に、ヒヨコの医師が旅人の鳥へ、スマートフォンと一枚の紙をそっと手渡している

ここまでをまとめると、地方の病院には専門の科も、英語を話せる医師もほとんどいません。夜間休日は当番の病院だけが診てくれて、CT は気軽に撮り、英語の診断書は手間に見合わないこともあります。

具合が悪くなったら、当番の病院を AI に探してもらい、症状を書いた紙を持っていってください。 日本の地方の旅を、安心して楽しんでもらえたらうれしいです。