投機の体験:資産の半分を失った売買と、勝っても割に合わなかった売買

ヒヨコの医師が、大きな波の立つ海に浮かぶ小舟の上で、遠くを進む巨大な船団を見上げ、小さな櫂を握りしめている 10:28 YouTube投機の体験:資産の半分を失った売買と、勝っても割に合わなかった売買この記事を動画で見る・YouTube で開きます
目次
  1. 結論
  2. 指標を読んで売り、半分を失った
  3. 市場の過剰反応に賭けて勝った
  4. 勝てたのも運かもしれない
  5. 何も考えない人も好成績だった
  6. ジタバタするのは勧めない
  7. 増やすならインデックス

「インデックス以外で、もっとうまく増やせないのか?」バイトで収入が増えてくると、一度は考えることだと思います。

私は2020年のコロナショックの直前に投資を始め、その後の急落も、そこからの上昇も見てきました。国内外の株や債券、投資信託から、FX・CFD・暗号資産まで経験しています。大きく負けたことも、狙いどおりに勝ったこともあります。

この記事では、色々考えて売り買いすることに意味があるのかを、自分の売買を振り返りながら書きます。

結論

色々考えて売り買いしても、何も考えずにインデックスを買う人に勝てるかは怪しいです。 なので、勉強に時間をかけ、リスクを背負ってジタバタすることは勧めません。

まず、色々考えて売り買いした結果として、負けた売買と勝った売買を振り返ります。次に、その勝ちも運だったかもしれないことと、同じ時期に何も考えずに買っていた人の成績を書きます。そのうえで、ジタバタするのを勧めない理由を書きます。

指標を読んで売り、半分を失った

ヒヨコの医師が、丘の上で望遠鏡をのぞき、遠くの空に広がる黒い雨雲を見つけて、羽で空を指さしている

まずは負けた話で、景気後退のサインを見てナスダックを売り、資産の半分ほどを失いました。

アメリカでは、2022年7月から2年あまり、長短金利の逆転という景気後退の前兆と言われる状態が続いていました。

2024年8月には、失業率の上昇から他の指標も景気後退のサインを出しました。

FRED:10年債と2年債の金利差・FRED:サーム・ルール

ヒヨコの医師が、ぐんぐん上へ伸びていく太い棒の前で、下向きの矢印の旗を握ったまま、軽くなった財布を見て青ざめている

こうした指標をいろいろ比べて、私は2024年8月ごろにナスダックを売り、半年ほど持ちました。

知っての通り、ナスダックはその間も上がり続け、2割ほど高くなりました。

元手の何倍もの金額を売り買いできる仕組みを使っていたため、損が大きくなりました。

市場の過剰反応に賭けて勝った

ヒヨコの医師が、急に大きく下がった折れ線の描かれた紙を机に広げ、腕を組んで落ち着いて見つめている

次は勝った話で、紅麹問題で売られすぎと見て、小林製薬の株を買いました。

2024年3月、小林製薬が「紅麹コレステヘルプ」などの自主回収を発表しました。腎臓の病気などの健康被害が報告されていました。

株価は発表前の6,000円ほどから、数日で約20%安い4,900円ほどまで下がりました。

うろ覚えですが、当時の報道では、被害は100人ほどだったと思います。このニュースを見て、市場の反応は過剰ではないかと考え、分析を始めました。

ヒヨコの医師が、片側に大きく傾きすぎた天秤を、虫眼鏡を手に横からじっと確かめている

3時間ほどかけた見積もりは、次のとおりです。

項目見積もり考え方
紅麹関連の売上10億円弱消えても誤差
賠償100億〜200億円被害者1,000人×1人1,000万〜2,000万円
回収費用10億円売上と同じ額
合計110億〜210億円約4,500億円の時価総額に対して、多くても5%に満たない

ヒヨコの医師が、少しずつ高くなっていく積み木の塔の横に長い棒を立て、ここまでと決めた高さに小さな旗を結びつけている

被害者は、報道が出始めだったので、これから増えると見ていました。ただ、急性の腎障害との因果関係を数万人の単位で立証するのは考えにくく、多くても1,000人ほどだろうと置きました。

1人あたりは、C型肝炎訴訟の給付金(慢性肝炎で2,000万円)を目安に、1,000万〜2,000万円と置きました。

PMDA:特定C型肝炎ウイルス感染者救済給付金の支給

ヒヨコの医師が、どっしりとした頑丈な金庫の扉を軽くたたき、中の厚みを確かめるように耳を当てている

財務も確かめました。キャッシュフローは問題なく、この規模と当時の低金利なら、万一のときでも融資を引けると見ていました。

数字以外では、次のように判断しました。

  • ブランド:買う人は、どの商品が小林製薬製かをそれほど意識していない

  • 他の製品:店頭から外されても、早く戻る

  • 株価:人気の安定企業で、早く落ち着く

ヒヨコの医師が、右寄りに高い山があり左へ細く長く裾を引く曲線と、山より左に引いた1本の縦線が描かれた大きな紙を掲げ、羽で縦線を指している

こうした判断をもとに、適正な株価はニュースが出る前の5%ほど下と見込みました。当時は20%ほど下がっていたので、そこまで戻れば+15%、元の株価まで戻れば+20%です。

そこで、5,000円前後で買いました。

ヒヨコの医師が、落ちきった小さな砂時計を手に、果実を一つだけ摘んだかごを抱えて、満足そうに木から離れていく

賭けたのは「紅麹問題に対する市場の反応は過剰だ」という一点だけです。

業績そのものには賭けないと決め、持つ期間は1か月にしました。長く持つほど株価は紅麹問題ではなく業績で動くようになり、別の賭けになるからです。

1か月後の4月下旬、株価は約5,600円で、買値から+12%でした。同じ期間、市場全体は横ばいか少し下げていたので、市場につられて上がったわけではありません。

賭けた一点は当たり、株価はおよそ見込みに近いあたりまで戻りました。

勝てたのも運かもしれない

ヒヨコの医師が、赤ペンを手に、丸とばつが入り混じった答案用紙を机に広げて、苦笑いしている

ただ、勝てた理由は、あとから振り返るとあやふやです。今なら、当時の見積もりの答え合わせができます。

項目当時の見積もり実際
被害者1,000人補償の対象は約520人(2026年9月時点)
1人あたりの賠償1,000万〜2,000万円不明
賠償と回収費用の合計110億〜210億円紅麹関連の損失は2025年末までの累計で163億円。回収・取引先への対応・被害者への補償をまとめた額で、内訳は公表されていない

小林製薬:補償の進捗状況・小林製薬:特別損失の計上(2024年)・NHK:補償費用など36億円余(2025年)

ヒヨコの医師が、枠にぴったり収まったジグソーパズルを見下ろし、思っていたのと違う形のピースばかりで埋まっているのに気づいて、目を丸くしている

被害者は見積もりの半分ほどでした。それでも、損失の合計は見積もりの幅に入っています。つまり、1人あたりの賠償か回収費用の少なくともどちらかは、見積もりより大きかったということです。

前提は外れていて、合計が幅に収まったのはたまたまです。

ヒヨコの医師が、的の真ん中に刺さった矢を見ながら、曲がった弓を手に、首をかしげている

利益が出たのは結果であって、判断が正しかった証明にはなりません。1回の勝ち負けでは腕か運かも分からず、単に運がよかっただけかもしれません。

何も考えない人も好成績だった

ヒヨコの医師が、資料の束を抱えて汗をかきながら、ハンモックで昼寝をする色違いの小鳥の横でふくらんでいく貯金箱を見て、目を丸くしている

一方で、何も考えずにインデックスを買っていただけの人も、かなりいい成績を出していました。

私がナスダックを売っていた半年も、ナスダックを買っていた人は2割ほど増やしています。紅麹の売買をした2024年全体なら、100万円をオルカンに入れておくだけで、1年で32.5万円増えていました。

三菱UFJアセットマネジメント:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

ジタバタするのは勧めない

ヒヨコの医師が、壁の時計を見上げながら、机の上の小さな硬貨の山と積み上げた資料の束を見比べ、ため息をついている

では、勉強に時間をかけ、リスクを背負って、色々ジタバタすることを勧めるかというと、勧めません。

まずは、かけた時間です。

紅麹の分析にかけた3時間は、時給1万円とすると人件費3万円です。想定どおり+15%取れたとしても、20万円投じてようやくトントンです。

ヒヨコの医師が、積み上げた分厚い本に囲まれて勉強しながら、窓の外で大きな鳥たちがずらりと並ぶ画面を操る高い建物を見上げている

それに、3時間で済んだのは、それまでに経験を積んでいたからです。慣れていなければもっと時間がかかっていたと思いますし、そもそも基礎を勉強する時間は必要です。

ヒヨコの医師が、ときどき海面に跳ねる魚を待って、釣り竿を手に桟橋で長いあいだ座り込んでいる

紅麹のほかにも、たまに起きるイベントで、ちまちまと売買してきました。日本政府による為替介入の逆を取る取引や、金のCFDの年限による価格のずれを取る取引です。

ただ、こうした機会はいつもあるわけではありません。

ヒヨコの医師が、硬貨の袋を抱えたまま一日中窓辺で外を見張り、目の下にくまを作っている

いつ来るか分からない機会のために、市場の動きを見張り続け、そのためのお金も置いておかないといけません。

置いておくお金には機会損失があります。インデックスに入れておけば増えていた分を、受け取れません。

持っている間は、悪いニュースに身構え続けることになり、気持ちの負担もあります。

増やすならインデックス

ヒヨコの医師が、広い畑で静かに育つたくさんの小さな苗に、じょうろで水をやり、穏やかにほほえんでいる

ここまでをまとめると、色々考えて売り買いしても、負ければ私のように資産の半分を失うこともあります。勝っても、その理由はあやふやで、運だったかもしれません。

そのあいだ、何も考えずにインデックスを持っていた人も、いい成績を出していました。色々考えて売り買いするのは、正直、期待値の低いものだと思います。

増やすだけなら、医師として普通に働いた方が早いです。特に資産の総額がまだ多くないうちは、なおさらです。

その点、インデックス投資なら、何も考えなくても市場全体の平均を受け取れます。

ヒヨコの医師が、釣り道具をしまった物置の戸を閉め、閉じたノートパソコンと絵筆を抱えて楽しそうに部屋へ戻っていく

ただ、儲けではなく、分析すること自体を楽しめるなら別です。趣味としてやるなら全然いいと思います。

私自身も数か月前までは、個別株をちまちま分析して、その分析自体を楽しんでいました。今はこのブログや他の趣味に興味が移り、ある程度手仕舞っています。

資産を増やすならインデックス、それ以外は趣味として楽しめる範囲に、というのが私の答えです。

具体的にどう投資するかは、次の記事に書いています。