投機の体験:資産の半分を失った売買と、勝っても割に合わなかった売買
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「インデックス以外で、もっとうまく増やせないのか?」バイトで収入が増えてくると、一度は考えることだと思います。
私は2020年のコロナショックの直前に投資を始め、その後の急落も、そこからの上昇も見てきました。国内外の株や債券、投資信託から、FX・CFD・暗号資産まで経験しています。大きく負けたことも、狙いどおりに勝ったこともあります。
この記事では、色々考えて売り買いすることに意味があるのかを、自分の売買を振り返りながら書きます。
結論
色々考えて売り買いしても、何も考えずにインデックスを買う人に勝てるかは怪しいです。 なので、勉強に時間をかけ、リスクを背負ってジタバタすることは勧めません。
まず、色々考えて売り買いした結果として、負けた売買と勝った売買を振り返ります。次に、その勝ちも運だったかもしれないことと、同じ時期に何も考えずに買っていた人の成績を書きます。そのうえで、ジタバタするのを勧めない理由を書きます。
指標を読んで売り、半分を失った

まずは負けた話で、景気後退のサインを見てナスダックを売り、資産の半分ほどを失いました。
アメリカでは、2022年7月から2年あまり、長短金利の逆転という景気後退の前兆と言われる状態が続いていました。
2024年8月には、失業率の上昇から他の指標も景気後退のサインを出しました。

こうした指標をいろいろ比べて、私は2024年8月ごろにナスダックを売り、半年ほど持ちました。
知っての通り、ナスダックはその間も上がり続け、2割ほど高くなりました。
元手の何倍もの金額を売り買いできる仕組みを使っていたため、損が大きくなりました。
市場の過剰反応に賭けて勝った

次は勝った話で、紅麹問題で売られすぎと見て、小林製薬の株を買いました。
2024年3月、小林製薬が「紅麹コレステヘルプ」などの自主回収を発表しました。腎臓の病気などの健康被害が報告されていました。
株価は発表前の6,000円ほどから、数日で約20%安い4,900円ほどまで下がりました。
うろ覚えですが、当時の報道では、被害は100人ほどだったと思います。このニュースを見て、市場の反応は過剰ではないかと考え、分析を始めました。

3時間ほどかけた見積もりは、次のとおりです。
| 項目 | 見積もり | 考え方 |
|---|---|---|
| 紅麹関連の売上 | 10億円弱 | 消えても誤差 |
| 賠償 | 100億〜200億円 | 被害者1,000人×1人1,000万〜2,000万円 |
| 回収費用 | 10億円 | 売上と同じ額 |
| 合計 | 110億〜210億円 | 約4,500億円の時価総額に対して、多くても5%に満たない |

被害者は、報道が出始めだったので、これから増えると見ていました。ただ、急性の腎障害との因果関係を数万人の単位で立証するのは考えにくく、多くても1,000人ほどだろうと置きました。
1人あたりは、C型肝炎訴訟の給付金(慢性肝炎で2,000万円)を目安に、1,000万〜2,000万円と置きました。

財務も確かめました。キャッシュフローは問題なく、この規模と当時の低金利なら、万一のときでも融資を引けると見ていました。
数字以外では、次のように判断しました。
-
ブランド:買う人は、どの商品が小林製薬製かをそれほど意識していない
-
他の製品:店頭から外されても、早く戻る
-
株価:人気の安定企業で、早く落ち着く

こうした判断をもとに、適正な株価はニュースが出る前の5%ほど下と見込みました。当時は20%ほど下がっていたので、そこまで戻れば+15%、元の株価まで戻れば+20%です。
そこで、5,000円前後で買いました。

賭けたのは「紅麹問題に対する市場の反応は過剰だ」という一点だけです。
業績そのものには賭けないと決め、持つ期間は1か月にしました。長く持つほど株価は紅麹問題ではなく業績で動くようになり、別の賭けになるからです。
1か月後の4月下旬、株価は約5,600円で、買値から+12%でした。同じ期間、市場全体は横ばいか少し下げていたので、市場につられて上がったわけではありません。
賭けた一点は当たり、株価はおよそ見込みに近いあたりまで戻りました。
勝てたのも運かもしれない

ただ、勝てた理由は、あとから振り返るとあやふやです。今なら、当時の見積もりの答え合わせができます。
| 項目 | 当時の見積もり | 実際 |
|---|---|---|
| 被害者 | 1,000人 | 補償の対象は約520人(2026年9月時点) |
| 1人あたりの賠償 | 1,000万〜2,000万円 | 不明 |
| 賠償と回収費用の合計 | 110億〜210億円 | 紅麹関連の損失は2025年末までの累計で163億円。回収・取引先への対応・被害者への補償をまとめた額で、内訳は公表されていない |

被害者は見積もりの半分ほどでした。それでも、損失の合計は見積もりの幅に入っています。つまり、1人あたりの賠償か回収費用の少なくともどちらかは、見積もりより大きかったということです。
前提は外れていて、合計が幅に収まったのはたまたまです。

利益が出たのは結果であって、判断が正しかった証明にはなりません。1回の勝ち負けでは腕か運かも分からず、単に運がよかっただけかもしれません。
何も考えない人も好成績だった

一方で、何も考えずにインデックスを買っていただけの人も、かなりいい成績を出していました。
私がナスダックを売っていた半年も、ナスダックを買っていた人は2割ほど増やしています。紅麹の売買をした2024年全体なら、100万円をオルカンに入れておくだけで、1年で32.5万円増えていました。
ジタバタするのは勧めない

では、勉強に時間をかけ、リスクを背負って、色々ジタバタすることを勧めるかというと、勧めません。
まずは、かけた時間です。
紅麹の分析にかけた3時間は、時給1万円とすると人件費3万円です。想定どおり+15%取れたとしても、20万円投じてようやくトントンです。

それに、3時間で済んだのは、それまでに経験を積んでいたからです。慣れていなければもっと時間がかかっていたと思いますし、そもそも基礎を勉強する時間は必要です。

紅麹のほかにも、たまに起きるイベントで、ちまちまと売買してきました。日本政府による為替介入の逆を取る取引や、金のCFDの年限による価格のずれを取る取引です。
ただ、こうした機会はいつもあるわけではありません。

いつ来るか分からない機会のために、市場の動きを見張り続け、そのためのお金も置いておかないといけません。
置いておくお金には機会損失があります。インデックスに入れておけば増えていた分を、受け取れません。
持っている間は、悪いニュースに身構え続けることになり、気持ちの負担もあります。
増やすならインデックス

ここまでをまとめると、色々考えて売り買いしても、負ければ私のように資産の半分を失うこともあります。勝っても、その理由はあやふやで、運だったかもしれません。
そのあいだ、何も考えずにインデックスを持っていた人も、いい成績を出していました。色々考えて売り買いするのは、正直、期待値の低いものだと思います。
増やすだけなら、医師として普通に働いた方が早いです。特に資産の総額がまだ多くないうちは、なおさらです。
その点、インデックス投資なら、何も考えなくても市場全体の平均を受け取れます。

ただ、儲けではなく、分析すること自体を楽しめるなら別です。趣味としてやるなら全然いいと思います。
私自身も数か月前までは、個別株をちまちま分析して、その分析自体を楽しんでいました。今はこのブログや他の趣味に興味が移り、ある程度手仕舞っています。
資産を増やすならインデックス、それ以外は趣味として楽しめる範囲に、というのが私の答えです。
具体的にどう投資するかは、次の記事に書いています。
